はじめに ~白洲正子著『かくれ里』を巡る旅~

秘境と呼ぶほど人里離れた山奥ではなく、ほんのちょっと街道筋からそれた所に、今でも「かくれ里」の名にふさわしいような、ひっそりとした真空地帯があり、そういう所を歩くのが、私は好きなのである。
近頃のように道路が完備すると、旧街道ぞいの古い社やお寺は忘れられ、昔は賑やかだった宿場などもさびれて行く。
どこもかしこも観光ブームで騒がしい今日、私に残されたのはそういう場所しかない。
その意味では、たしかに「世を避けて隠れ忍ぶ村里」であり、現代の「かくれ里」といえよう。

―『かくれ里』より―

白洲正子氏の著書『かくれ里』は、24編のエッセイのうち6編が奈良県内の地を題材としています。 交通の便も悪くバスが入れない所も多い中で、あえてその「ひっそりとした真空地帯」を巡る“こころ旅”を提案いたします。

〔注意事項〕
1. 当企画は、奈良県内の地をテーマとした6編を抜粋して紹介するものです。
2. その中にあっても、現地の諸事情で立ち入りや拝観ができない社寺等は割愛しています。
3. 移動手段は、乗用車(マイカー・レンタカー)あるいは徒歩を原則としています。
  バスの通行や駐車に関する情報もできる限り記載いたしましたが、詳しくは 当ビューローにおたずねください。
4. 入場料および拝観料等は、改訂される場合がございます。各自でご確認ください。